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2019 年度 実施状況報告書

アミノ酸クラスターに基づく腎標的化ハイブリッドDDSによる腎癌診断・治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22982
研究機関京都薬科大学

研究代表者

勝見 英正  京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (30434666)

研究分担者 山本 昌  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00166779)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードドラッグデリバリーシステム / ターゲティング / 腎臓 / アミノ酸
研究実績の概要

本研究は独自の腎臓標的化分子 (アミノ酸クラスター) に基づき新しい腎臓標的化ドラッグデリバリーシステム (DDS) を開発するとともに、治療が困難とされる腎細胞癌の新規診断・治療法を構築することを目的とする。
2019年度では、腎臓標的化分子として、アミノ酸クラスター(セリンをクラスター状に修飾した高分子ポリマー) を合成し、マウスにおける体内動態を系統的に評価した。すなわち、高分子ポリマーのアミノ基に対して、Boc-Ser(tBt)-OH をHBTU-HOBt 法でカップリング反応、脱保護させることでアミノ酸クラスターを合成した。アミノ酸クラスターに diethylenetriaminepentaacetic acid (DTPA) を介して、体内動態評価ならびにSPECT /CTによる分布イメージング用の放射性核種In-111を標識した。マウス静脈内投与後の111In標識アミノ酸クラスターは、急速に腎臓中へ移行した。また、腎臓以外の臓器への分布はほとんど見られず、腎臓選択性に優れた体内動態を示した。SPECT/CTによる分布イメージングにおいても、腎臓選択的な体内動態が確認された。蛍光標識アミノ酸クラスターをマウスに静脈内投与した後の腎臓切片を顕微鏡で観察したところ、腎臓の皮質部分、特に近位尿細管から蛍光が観察された。
このことから、アミノ酸クラスターは、近位尿細管へ選択的に分布する薬物キャリアであることが示された。近位尿細管は腎細胞癌の発症部位とされることから、アミノ酸クラスターは腎細胞癌治療に有利な腎臓内分布を示したと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度は、腎標的化分子であるアミノ酸クラスター(セリンをクラスター状に修飾した高分子ポリマー)を合成しその体内動態(腎臓ターゲティング能)を系統的に評価することが目標であった。合成したアミノ酸クラスターがマウス静脈内投与後に選択的に腎臓へ集積することをIn-111標識体を用いた体内動態評価及びSPECT/CTによる分布イメージングにより明らかにしており、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2019年度に開発したアミノ酸クラスターの末端基の一部に二官能性リンカーを介して治療用核種をアミノ酸クラスターに担持し、腎臓ターゲティング能と腎細胞癌治療効果の連関を明らかにする。すなわち、癌細胞をマウスの腎臓皮質に投与することで腎細胞癌モデルを作製し、治療用核種の腎臓標的化による治療効果を評価するとともに、体内動態解析結果との連関を明らかにする。体内動態及び治療効果の結果に応じて、物性、担持方法を最適化し、体内動態と治療効果に優れる腎臓標的化高分子キャリアを創製する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の研究に係る支出の残金として次年度使用額が生じた。

次年度の研究助成金と合わせて、次年度に計画している研究の物品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] アミノ酸クラスターを利用したターゲティング型DDSの開発とがんのセラノスティクスへの展開2020

    • 著者名/発表者名
      勝見英正、森下将輝、山本 昌
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会
    • 招待講演
  • [学会発表] セリン修飾による高分子キャリアの腎臓特異的ターゲティング2019

    • 著者名/発表者名
      北田 翔, 勝見英正, 高島梨恵, 安岡慎太郎, 木村寛之, 松浦 悟, 森下将輝, 山本 昌
    • 学会等名
      第69回日本薬学会関西支部総会・大会
  • [学会発表] セリン修飾による高分子キャリアの腎臓特異的ターゲティング~セリン修飾高分子の腎臓集積機構及び安全性評価~2019

    • 著者名/発表者名
      勝見英正, 松浦 悟, 高島梨恵, 北田 翔, 安岡慎太郎, 森下将輝, 山本 昌
    • 学会等名
      第35回日本DDS学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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