研究課題
リキッドバイオプシー(体液診断)による病気の存在や進行度の把握、及び、治療効果の判定は、確定診断法として実施されている針生検、内視鏡検査による侵襲的な組織生検に対して、患者負担の少なく簡便な検査法として期待され、着目されている。しかし、血液7.5 mL中に血中循環腫瘍細胞(検査目的の細胞)5個検出が基準値となっており、超高効率に「濃縮精製(標準で1.5時間以上の複雑で時間のかかる工程)」し、その後に「精密同定」の過程を経る必要がある。採血をしない、すなわち非侵襲で連続的にモニタリングできる手法が確立されれば、患者にも医療機関にも負担のない検査となりうる。体液診断実現の一端を担っている基盤技術としてμ―TASがあり、MEMS技術を用いてシリコンやガラスにミクロンオーダーの微小な流路(マイクロチャネル)を作成し、その流路内で化学・生化学分析ができる。細動静脈や毛細血管を生体内のマイクロ流路とし、光音響イメージングで、これを通過する検査目的の細胞を検出できれば、in vivoリキッドバイオプシーが実現される。上記のコンセプトに基づき、顕微鏡タイプの光音響システムを構築した。必要な感度、分解能かつ撮像時間(フレームレート)を達成すべく、要素技術の開発を行なった。また目的の細胞の色(自家信号)を検出するのか、標識をして検出をするのかの両方に適応できるように広帯域光源(スーパーコンティニューム光源)を導入した。その結果、目標空間分解能(4マイクロメートル)を達成した。どんな血管を対象にしているかわかるように血管径の数値化も一定の条件で可能となった。加えて血球のイメージング、標識細胞のイメージングも可能となった。
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