研究課題/領域番号 |
19K22999
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
岡坂 桜子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員 (60843985)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | タピスリー / ゴブラン製作所 / ギュスターヴ・ジェフロワ / 美術史 |
研究実績の概要 |
本研究では、フランス国立ゴブラン製作所によるタピスリー連作「フランスの諸地域と諸都市」という特定の作品の成立プロセスと、それに関与したゴブラン審議会という公的機関の運営の内実の考察を通じて、本作の美術史的位置づけを再検討すると同時に、当時のゴブラン製作所の美的判断基準を明らかにしようとするものである。初年度となる令和元年度においては、研究基盤となる資料収集とその整理・考察に注力したが、その対象の主となるものは、当該連作に関与した作家の個別情報と、ゴブラン製作所の運営に関する行政文書であり、とりわけ後者は、フランス現地での調査を要するものであった。 日本国内からでも入手可能な二次文献の収集は計画的に進め、19世紀末から20世紀半ばまでのフランス近代タピスリーや個々の作家に関する文献等、研究トピックに関する基礎文献を網羅的に収集し、先行研究の整理と考察を行った。他方、行政文書等の一次資料と日本では入手できない作家情報の収集は、2020年3月に実施したパリおよびミュンヘンでの現地調査にて実施した。フランス国立古文書館では、議事録や人事に関する行政命令をはじめとするゴブラン製作所の運営に関するさまざまな文書を収集し、またオルセー美術館資料室では日本では入手困難な知名度の低い作家の情報を集め、今後の情報・資料収集の方針を掴むことができた。さらに、アンジェ(アンジェ城、ジャン・リュルサ現代タピスリー美術館)や、ミュンヘン(クンストハレ)で開催されていた展覧会にも赴き、本研究の考察対象としている作品や関連作品を実見した。 現地調査実施後は、収集した一次資料、作品写真、関連する二次文献の整理・考察を実施し、いくつかの論文としてまとめたが、本研究において収集された情報・公文書等の資料は、網羅的な収集・整理・分析・公開が待たれているものであり、今後も分析・公開を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タピスリー連作「フランスの諸地域と諸都市」と、本作が製作された当時のゴブランの運営状況に関する調査はおおむね順調に進んでいる。初年度では関連する二次文献の収集・整理・考察を通じて、本研究が射程とするトピックに関して先行研究の状況を把握すると同時に、本研究に有効な情報を網羅的に収集することができ、また新たな知見も得ることができた。また、現地調査で収集した一次史料に基づき、「原典史料翻訳」というかたちで調査成果を公開することができている。 初年度の現地調査では、実見・確認すべき資料をおおむね収集できたが、時間的な制約によって、未確認の資料が残された。これらに関しては、2年目の現地調査の折に持ち越す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策に関しては、当初の研究方法や計画から特に大きな変更はなく、2年目も計画通りに進める。初年目に収集した情報・資料の整理と考察を継続し、それらを基に論考の完成・公開を目指す。 計画通り、2年目も2回目の現地調査(主にフランス)を実施予定である。本研究の完成にあたって必要となる資料・情報は幅広く収集に時間を要するものであるため、そのための現地調査は2度に分けている。昨今の情勢等によっては、海外への渡航および現地調査が困難となる場合も想定されるが、その場合も臨機応変に対応していきたい。現地調査で実施すべき事項のうち、優先順位の高いものはすでに初年目の現地調査によって完了できているため、残り作業のうち国内から遂行できるものは適宜、実施していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、本研究に関する資料・情報収集が調査活動の主となり、収集された資料・情報を整理・管理・データベース化する作業は次年度の主な作業となった。したがって、そのために必要なデータベース用のソフトや資料のファイリングの為の物品の購入は次年度に持ち越すこととした。
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