研究課題/領域番号 |
19K23007
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 水萌 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (70844984)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 神将形図像 |
研究実績の概要 |
本研究においては、仏画や絵巻に描かれた天部などの神将形図像、とくに釈迦十六善神像や千手観音二十八部衆像において、その「形」のみに着目し、異なる尊格間における図像の転用関係を見出すことで、図像の意味や伝来の継承を目的とせず、その「形」のみが型紙のように扱われていたということを明らかにすることを目指す。 具体的な方法としては図像を年代ごとに整理し、比較検討を行っていく。そのため、多くの図像について調査、検討が必要である。 本年度においては、前年度に続き資料収集を目的とし、十四世紀に制作された千手観音二十八部衆を中心に調査を行った。京都・仁和寺「千手観音二十八部衆像」、福井・羽賀寺「釈迦十六善神像」、また実見は叶わなかったが、福井県おおい町懺法講「千手観音二十八部衆像」の画像データの閲覧を行った。 仁和寺の図像はこれまでに調査を行った本尊を坐像とする構図ではあるが、頭上に二臂をかかげる清水式の千手観音として表され、この点がほかの坐像の図像と大きく異なる。二十八部衆の姿は剥落が多く判別し難い状態であるが、可能な限り検討を行った。 懺法講の図像は蓮華王院の本堂(三十三間堂)の本尊を写したという指摘があることから注目し、二十八部衆像と光背にあらわされた三十三応現神像の図像については今後も検討を続けたい。 また金剛三昧院の所蔵する白描「二十八部衆并十二神将図」において二十八部衆と二十八宿の関係がうかがえたことから、図像への影響を検討するため神将形の三十六禽獣が描かれた石山寺「星曼荼羅図」の図像を確認するなど、星曼荼羅図における神将形図像の検討も今後の課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた現地調査ができなかったために、資料が不足し、予定通り作業が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
調査による資料の収集を可能な限り進めて遅れを取り戻し、計画通りの検討作業を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言の発令に伴い、予定の調査などが行えなかったことから、次年度に延長せざるを得なかった。
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