本研究においては、仏画上の本尊の周辺に描かれている天部の諸尊のうち、武装した尊格を神将形と称して取り扱い、尊名に関わらず異なる尊格間で図像の転用・引用が行われ、図像の「形」のみが型紙のように扱われていたことを検討した。 十六善神および二十八部衆を中心に図像を比較した結果、複数の作品において異なる尊格間で白描図像等を引用・転用し、本尊を囲繞する天部等の図像を構成する作例が見出せたことから、図像を型紙としてその「形」のみを用いて新たな図像を作成していることが明らかであった。課題は多くあるが、今後神将形図像を検討するうえで基準となる成果は得られた。
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