研究課題/領域番号 |
19K23010
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
向井 晃子 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (70848465)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 前衛書 / 周縁 / 美術制度 / 伝統芸術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦後前衛書の展開を可能にした支援者を明らかにし、美術制度に支えられなかった芸術表現の支援者あるいは支援状況を検討して、欧米とは異なる歴史と文化がある日本の美術史の特徴を、制度外から逆照射する形で浮き彫りにすることである。本研究の 核心には、明治期の人為的な「美術」の線引きから漏れた書という伝統芸術分野に注目し、戦後になされたその新たな展開を検討することで、 「日本美術」や「西洋美術」、「伝統芸術」や「現代美術」といった従来の分類では収まりきらない学際的な芸術表現を美術史の視点から問い直し、現在行われている戦後日本美術の研究をより多面的、重層的に進展させるという狙いがあり、前衛書が周縁で支えられた状況を明らかにするために、地方での調査を計画していた。 今年度は、北海道滝川市、兵庫県豊岡市等、遠方への出張を伴なう調査を計画していたが、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言がまず東京都、京都府、大阪府及び兵庫県の4都府県が緊急事態措置を実施すべき区域として発出され、その後、対象地域が拡大、変更されながら継続された。加えて、感染力の高い変異株の出現による影響で、遠方への出張を伴う調査が難しく、補助的な文献調査と近隣地域での展覧会調査を行うに留まった。また、実施した調査は、感染状況を配慮しながらの比較的小規模なものとなった。 令和4年度は、延期した遠方での調査を行う方向で受入機関との調整を図る。新型コロナ感染状況は終息してはいないため、それに対する配慮は変わらず継続する。また、受入機関における調査受け入れに制限がある場合には、調査を行えないことも考えながら、研究を進めねばならないだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延による影響で、遠方への出張を伴う調査が難しく、文献調査と近隣地域での展覧会調査を行うに留まった。また、近隣地域での調査も、感染状況を配慮しながらの小規模なものとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、まずは延期した遠方での調査を行う方向で、受入機関との調整を図る。受入機関における調査対応に制限がある場合には、調査を行えないケースも想定する。 また、新型コロナ感染状況は終息してはいないため、それに対する配慮は変わらず継続する。例えば、個人へのインタビューについては、特に高齢者がインタビュイーである場合などには、質問書への回答や電話インタビューなど、対面でない方法への切り替えを検討する。 社会的にも、新型コロナ感染に対応しつつ、経済活動や日常生活の制限は徐々に解除されている方向であるため、研究の遂行においても、可能な範囲での現実的な対応を基に研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延による影響で、遠方への出張を伴う調査が難しかった。また、近隣地域での調査も、感染状況を配慮しながらの小規模なものとなったため。次年度は、遠方への出張を行う方向で受け入れ機関と調整する計画である。
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