研究課題/領域番号 |
19K23014
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森 元斎 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (40846052)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 哲学 / 思想史 / 美学・芸術学 / 文化研究 / 社会思想 / アナキズム / ホワイトヘッド |
研究実績の概要 |
本研究では、現代世界に生きる私たちが抱える諸問題、とりわけ人間・社会・自然・文化の領域における共同性の崩壊という問題系に対して、「具体性」「相互扶助」「美的なもの」という概念的枠組みから、新たな共同性の確立の試みについて哲学・思想の観点から検討を加えていく。 ホワイトヘッド哲学をはじめとした現代哲学や、アナキズム思想の観点から、上述の概念群を析出し、社会存在論の構築を行うことで、現代世界が抱える諸問題に資する議論を提供する研究になると予想される。 本研究の目的は、ホワイトヘッド哲学の形而上学的存在論を基盤に据えるとともに、アナキズム思想における個体論とその集合性の知恵としての共同体論、そしてそのさらなる知恵としての美的存在論を基に、諸存在の共同性の紐帯をなす美的存在のあり方を明らかにすることにある。ホワイトヘッド哲学に一貫して据えられている「具体性」概念、そしてホワイトヘッドの晩年に検討が与えられていた社会論における「美的なもの」、さらにアナキズム思想が理論だけでなくその実践として検討が加えられていた「相互扶助」という概念の枠組みから、従来のホワイトヘッド哲学とアナキズム思想の読解はもとより、同時代の文献読解や諸実践を研究し、現在の私たちが抱える共同性の崩壊という問題に対して、上述の概念群の枠組みから、理論的にも実践的にも、ある一定の考察とその解答を与えていくことになると考えられる。 今年度は、毎月研究会を行い、うち2回ほど研究費を使用して国内の研究者を招聘し、意見交換を行った。また国内で入手可能である文献を収集し、それら文献の厳密な読解につとめた。美的なものと生活、そして共同性について、『文學界』での連載や、学内の紀要で論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず研究遂行の方法としては、文献を収集し、その読解につとめることが挙げられる。書籍購入のみならず、国内では手に入りにくい文献・資料を収集するために、諸外国の大学図書館や資料室へ赴いた。そこで収集された資料の整理と厳密な読解に基づき、国内外で研究会に参加した。 文献収集に関しては、ホワイトヘッド哲学に関する著書、アナキズム思想史に関する著書、それらに関する国内外の文献・テキスト・資料などが主な収集するべきものであったが、具体的な文献等収集については、次の通りである。まず、ホワイトヘッドによる著作の校訂版が順次刊行されており、その収集を行うとともに、ホワイトヘッドの美学的な存在論について研究がなされた著作の収集を行った。それに加えて、アナキズムに関しては、国内外の美的なものと共同性に関して研究がなされたものを収集し、それに付随した、文学・美学・芸術史・哲学・思想史・社会史に関する著作やテキスト、新聞記事などを収集した。 またこれらに加えて、アナキズムの実践を行なっている諸外国のコミューン運動の場に赴き、そこで行なわれている美的なものの制作現場での諸実践について検討を加えた。 こうした研究を基に、英語論文や日本でも最も有名といわれている文芸誌(『文學界』)での連載を発表することが可能になり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、上述してきたような文献収集や国内外の諸実践の場所にさらに赴き、国内外の研究会・学会での発表を行なった上で、論文として、国内外の学会誌に投稿を行い、研究成果を問う予定である。これに加えて、書籍の形で、これまでの研究成果を発表し、哲学・思想の議論を広く世間一般にも還元できることが予想される。
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