本研究の学術的成果は、Nuchal Translucencyの「発見」を事例として、Verbeekが提唱した、人と技術が相互に関係しながら生成する「合成志向性」を構成する重要な要素として、技術を使う人の「技能」と技術が使われる社会的文脈を基礎づける「社会的関心」に着眼し、人と技術の相互的関係をより精緻に分析する道筋をつけたことにある。社会的意義としては、NTに象徴されるような、対象を視覚化・数値化して認識させる、人を対象とする現代技術に共通する「合成志向性」の成り立ちを明らかにすることで、技術のあり方をめぐる社会的議論に有用な視座を提供した点にある。
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