古代ギリシア思想、特にプラトン哲学における自己知を解明する為の研究を行った。研究方針として、まずプラトンが見出した自己知に関する問題、また、自己知を欠いた問題のある状態を把握し、それら問題に対応した、いかなる自己知がありうるかをプラトン著作から示そうとした。この方針に基づき、『カルミデス』、『イオン』篇を分析することで、自己知の難しさとその欠如の実態を考察することを試み、更に『パイドロス』篇において、恋の狂気と共に哲学者が行っている自己把握のありかたを明らかにした。前者に関して、一本の論考の発表と一件の国際学会口頭発表を、後者に関しては、一本の論考の発表と一件の国内学会口頭発表を行った。
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