これまで田辺哲学は十分に研究されてきたとは言い難く、今なおその思想は解釈の途上にあるため、全体像や哲学的意義は今後の研究を通して明らかにされなければならない。本研究の成果は「種の論理」と「懺悔道」の間の「飛躍」が、従来の研究で強調されてきたように〈全く別の哲学となった〉ことを意味するのではなく、連続性がかなりの程度保たれていたことを明らかに出来た。これによって従来の理解とは異なる田辺哲学像を示すことが出来た。また、田辺の社会存在論の継承者として武内義範を位置づけることに成功した。加えて、翻刻資料や著作の英訳により、今後の田辺研究、ひいては日本哲学研究発展のための新しい礎を築くことが出来た。
|