「共同体」という概念は、哲学のみならず、社会科学の分野などにおいても基礎的なものである。本研究は、この概念を、ドイツの哲学者エトムント・フッサールの創始した「現象学」という方法に沿って考察した。現象学は、世界で生きる私の一人称の観点から現れるものの記述を通じて、各種の学問領域における基礎概念を解明するための方法である。この方法に沿って、私が他者と出会い、コミュニケーションを通じて社会を形成する過程を記述することが可能となる。これにより「共同体」概念を軸とすることによって「他者」について体系的に論じることが可能となり、法や倫理などの規範を現象学の見地から論じるための視座が与えられた。
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