研究課題/領域番号 |
19K23029
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坂井 めぐみ 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (00851578)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 人工妊娠中絶 / 優生保護法 / 医学史 / 研究倫理 / 胎生学 / 技術史 |
研究実績の概要 |
日本には「京都コレクション」と呼ばれる流産・中絶胎児の標本がある。旧優生保護法にもとづき、1960-70年代に収集された流産・中絶胎児は、約45,000例におよび、世界最大規模である。今日、標本のデータベース化がすすむと同時に、先天異常の発生予防、妊婦管理のガイドライン作成やヒト発生学をはじめとした各種医学研究への応用が期待されている。本研究の目的は、旧優生保護法のもとで実施された人工妊娠中絶に注目し、胎芽・胎児の標本が作製された文脈や背景および状況に即して歴史的に検討する。本年度の研究成果は以下である。 ① 旧優生保護法下における産科医の中絶観と中絶技術の相関:旧優生保護法のもとで実施された中絶についての関連資料、産科医の言説、医学論文を分析し、優生保護法下の中絶の実態に迫った。胎芽・胎児標本を胎生学と優生思想の交差の観点から分析し研究会で報告した。続いて旧優生保護法下の産科医の中絶技術の変遷について検討し研究会で報告した。 ② 流産および中絶胎芽・胎児の蒐集、保存、管理、利用:①の報告を踏まえ、関係者への聞き取りを実施した。一人目は京都大学大学院医学部医学研究科付属先天異常標本解析センター第3代センター長である(2019年9月調査済)。また、現在のセンター長にも聞き取りを行った(2019年10月調査済)。『母性保護医報』を閲覧・複写するために日本医師会医学図書館へ調査に行った(2019年10月調査済)。 今年度の調査により、標本蒐集の手順に注目した歴史と中絶技術の変遷に注目した技術史というふたつの方向性で論文化する基盤が整った。このふたつは相互に関連している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスの影響で予定していた調査に行くことができなくなっている。しかし既に集めた資料をもとに、論文執筆を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2019年度の研究調査をもとに、論文として形にすることを目指す。学会誌『科学史研究』と『医学哲学医学倫理』に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響で2019年度末に予定していた調査に行くことができなかった。翌年度の調査もまだ未定であるため、文献や資料収集に使用したい。
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