• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

革命から保守へ、その分水嶺を探る――後期ロマン主義における「フォルク」の意義

研究課題

研究課題/領域番号 19K23031
研究機関福岡大学

研究代表者

須藤 秀平  福岡大学, 人文学部, 講師 (40847406)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2022-03-31
キーワードゲレス / フランス革命 / 公開性 / 世論 / 公共圏 / 啓蒙主義 / ジャーリズム
研究実績の概要

ヨーゼフ・ゲレス『赤新聞』(1798)において展開されたジャーナリズムの特殊性を明確にするため、「公開性(Publizitaet)」の概念に着目し、それを歴史的文脈に照らして分析した。まずは同時代の言説として、I・カント『永遠平和のために』(1795)およびG・フォルスター『パリ素描』(1793-94)を取り上げ、両者のテキストを比較することで、世論に対する信頼とおそれという、当時の世論イメージの二面性を浮き彫りにした。さらにこの二人のテキストとの対照から、ゲレスが世論を一元的に捉えられないものとみなし、そうした認識からより流動的な公共圏を構想するに至ったことを明らかにした。
その後、18世紀のジャーナリズムにおいて「真実/真理(Wahrheit)」という言葉がどのように用いられたのかを明らかにすべく、ゲレス以前の啓蒙主義を代表するベルリン水曜会における議論を精査した。それにより、当時「民衆(Volk)」を教育する立場にあったベルリン水曜会の会員たちのあいだで、「真実」を「民衆」に伝えるべきか否かという点で意見が分かれていたことを、テキストに即して明らかにした。
研究開始時点で掲げていた、ゲレスの保守思想の歴史的意義を明らかにするという目的は、残念ながら達成されなかった。というのも、ゲレスとフランス革命思想の関係を探るために、革命に関する当時の言説を調査する中で、革命派も反革命派も、自分たちが「真実」を伝えており、反対に敵対者はそれを隠蔽しているという論法を共有していることがわかり、そうした「真実」概念の展開について考察する必要が生じたからである。もっとも、それにより、現代に指摘される「ポスト真実」に通じる状況が18世紀にすでに見られることがわかり、メディアにおける「真実」の問題を歴史的に考察するための重要な視座を得ることができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 公共圏の再構成――ゲレス『赤新聞』(1798)における「公開性」概念の歴史的文脈2021

    • 著者名/発表者名
      須藤秀平
    • 雑誌名

      西日本ドイツ文学

      巻: 第33号 ページ: 1-15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 真理に惑う啓蒙主義――ベルリン水曜会における「真実/真理」言説の差異2021

    • 著者名/発表者名
      須藤秀平
    • 雑誌名

      福岡大学人文論叢

      巻: 第53巻第3号 ページ: 791-809

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi