研究課題/領域番号 |
19K23042
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
FAN KEREN 広島大学, グローバルキャリアデザインセンター, 特別研究員(広島大学) (80848044)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 西廂記 / 謎語 / 受容 |
研究実績の概要 |
本年度は、主に『西廂記』と関わりのある謎語について考察を加えた。 まず、『中華謎書集成』に基づき、明代から清代までの『西廂記』と関わりのある謎語をすべて整理・分析し、これらの謎語に共通する特徴、時間・空間によって差異が生じるかどうかについて検討した。 次に、明清時代に刊行された謎語作品集の序跋文を確認し、『西廂記』に言及される記述から、同作品は当時どのように扱われているのかについて確認した。 さらに、明清時代に刊行された謎語評論集、随筆集や日用類書などの資料を用いて、『西廂記』と関わりのある謎語はどのように評価されているのか、同作品に関わる酒令などとの関わりについて分析した。 以上の考察を踏まえて、論文「謎語から見る『西廂記』故事の受容―明清時代を中心に―」としてまとめた。『水滸伝』『西遊記』『紅楼夢』のような長篇小説は長さの関係で謎語に取り込まれにくい要素があるのに対し、人気がどの戯曲や小説にも負けない『西廂記』は、その物語の簡潔さと精錬された内容によって、戯曲や小説の中で、最も多く酒令や謎語に取り込まれる作品となった。明清時代では、『西廂記』と関わりのある謎語は、元宵節に人々に当てさせて楽しむだけでなく、普段の酒席でも酒令としても遊興に供された。明代に作られた同作品と関わりのある謎語の一部は、清代に入っても継承されている。一方、清代の謎語作品集を調べると、これまでに使われたことのない『西廂記』の内容を引き、新しい謎語を作るか、同作品が謎底とされる場合はその謎面を変えることによって新しさを生み出そうとするような作者の試みも強く窺える。また、以上の論文のほかに、『西廂記』の江戸時代における受容状況の研究成果の発信を英語で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
『西廂記』と関わりのある謎語について考察を加えた後、「四大奇書」の一つとしての『三国志演義』と関わりのある謎語を整理し、論文としてまとめようとしている。謎語における後者の受容の特徴を分析するには、予想以上に時間がかかり、軌道修正を検討しているため、全体的なペースがやや遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに整理してきた『三国志演義』に関わる謎語の諸資料を用いて独立したテーマとしてまとまるかどうか検討し、必要に応じて視点を変え、他作品を取り入れながら、比較研究の方向へ進んでいくと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
生じた次年度使用額は85円で、これ以上物品や書籍を買うことが出来ない金額であるため、次年度の使用額に取り入れ、書籍代か物品費に当てます。
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