本研究は明清時代に人気を博した戯曲や小説から、謎語(謎かけ)に多く引かれる『西廂記』と『聊斎志異』を選び、この二書の謎語に見られる受容状況に考察を加えた。前者は曲文の内容が謎かけの問題、答え共に多く引かれており、時代が下るにつれ、これまでに使われたことのない『西廂記』の内容を引き、新しい謎語を作るか、作中の同箇所が謎底とされる場合はその謎面を変えることによって新しさを生み出そうとするような謎語の作者たちの試みが強く窺える。一方、後者の謎語における引用はほとんど篇名であり、戯曲の改作や同作品を使う酒令の引用を含めて見れば、当時最も人気のあった話は複数の美人が登場する話であることが分かる。
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