研究課題
研究活動スタート支援
本研究は、和文・漢文訓読文、話し言葉・書き言葉といった「文体」の差異が、日本語の文法要素の変化に与える影響の差について明らかにすることを目指すものである。この観点に基づき、本研究では、中世末期の文法書『日本大文典』における当代話者の「話し言葉」と「書き言葉」に対する文体意識の解明や、近代の口語意識を窺うことのできる新出資料『新訳狂言記』、『春色梅児誉美』の3種の新訳作品の紹介を行った。
日本語学
従来、話し言葉を反映する資料を中心として進められてきた日本語文法史研究において、文体差という複層的観点を導入したことの意義は大きい。また併せて、江戸時代の原拠本と明治時代の訳本との対照、すなわち時代間の対照という日本語史の定石的手法に用いやすい新資料の活用も期待される。