研究課題/領域番号 |
19K23052
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
金 ヨンロン 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (60806595)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 戦争裁判 / 日本近現代文学 / 法と文学 / ポスト・コロナ |
研究実績の概要 |
本研究の課題は大きく二つに分けられる。第一に、戦争裁判を扱った日本近現代文学をリスト化する作業である。第二に、リスト化の一方で、「法と文学」議論の導入を試みながら具体的な個別作品論を書くことである。2020年度は、コロナ禍で予定していた国際学会が中止・延長され、また計画していた研究調査(米国のプランゲ文庫)が余儀なく中断された。だが、在日朝鮮人作家・李恢成の書評をはじめ、計4本の書評を書き、zoomを通じて開かれた国際学会にて2回の発表(①「フェミニズム運動としての、翻訳文学の可能性 :日本における『82年生まれ、キム・ジヨン』の受容をめぐって」『〔日韓フェミニズム文学シンポジウム〕トランス、フェミニズム――キム・ジヨンをともに読む』2020年8月8日、②「植民地支配の責任を再審する文学:現代日本の戦争裁判表象を中心に」『第1回成均館大学校国際文化研究フォーラム:ポスト・コロナ(時代)、ポスト・文化研究』 2021年1月29日)を行なった。特に後者の研究発表を行うことで、研究課題の大きな枠組みを、ポスト・コロナという現状において位置付け、再検討する貴重な機会を得ることができた。 他にも、2019年にパリINALCOで行なった研究発表での議論を踏まえたうえで、震災から10年を迎えて刊行された共著・木村朗子、アンヌ・バヤール=坂井編『世界文学としての〈震災後文学〉』(明石書店、2021年3月)の「第9章 水と3・11ーー連鎖する読み、その接続可能性をめぐって」 (pp.249-270)を分担執筆した。赤坂真理の『東京プリズン』など、現代文学における戦争裁判の表象を考えるうえで、震災後の歴史認識が深く関わっていることをあらかじめ確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、コロナ禍で予定していた国際学会が中止・延長され、また計画していた研究調査(米国のプランゲ文庫)が余儀なく中断された。だが、オンラインの学会発表などで積極的に国際的交流を行うことで、今後の研究を遂行するにあたって大きな示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の成果をまとめるにあたって、重要な資料調査(米国のプランゲ文庫における東京裁判と検閲内容)がコロナ禍のもとで難しくなり、研究期間を一年延長することになった。まだ、状況の収束が見えない状況なので、このまま調査が難しい場合は、学術書の刊行は延期することにしたい。だが、戦争裁判を扱った作品を分析してその成果を学会(zoomなどのオンラインの形態)で発表し、それをまとめて学術論文として発表する予定である。そのようにして研究成果の発表を積極的に行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍で予定していた国際学会が中止・延長され、また計画していた研究調査(米国のプランゲ文庫)が余儀なく中断された。2021年度の研究調査(米国のプランゲ文庫における戦争裁判と検閲内容の調査)の費用として、支出を予定している。
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