本研究では、日本の近現代における法と文学の関係を明らかにするための基礎的作業を行った。まず、1970年代のアメリカ法学研究から開始された「法と文学」議論の流れを捉え、日本文学研究へ応用する方法を模索した。また、日本文学の研究史から法制度にかかわるものを整理した。そのうえ、研究対象を、東京裁判をはじめとした戦争裁判と戦争裁判を描いた文学に設定した。具体的には、戦争裁判にかかわる文学作品を時期別・ジャンル別に目録化し、リストの中で特に重要なテクストを詳しく検討し、日本における「法と文学」議論の可能性を検討し、戦後日本の具体的かつ歴史的文脈の中で法(国際法、日本国憲法など)と文学の問題を考察した。
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