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2019 年度 実施状況報告書

清代における「薛家将」故事の発展と拡大に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K23053
研究機関早稲田大学

研究代表者

柴崎 公美子  早稲田大学, 文学学術院, 助手 (70844140)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード清代 / 中国通俗文芸 / 家将小説 / 羅家将
研究実績の概要

本研究は、武家一門の累代にわたる活躍を描いた「家将」物語が、清代において新たなコンテンツとして他の文芸メディアと結びつき、新しいメディアに取り込まれてさらに拡大する状況を解析することで、清代の創作現象の再評価を行うことを目的とする。その研究の一環として、2019年度は以下の通り計画を実行した。
1.『羅通掃北』の内容考察
代表者は、課題採択前に「家将小説研究」の一環として「羅家将」の一人である羅通が北伐を行う小説『羅通掃北』について考察し、論文「『 羅通掃北 』 に見る英雄物語の「 創作 」」を『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第65輯に投稿し、掲載されている。そこで同論文の内容を踏まえ、12月21日に早稲田大学で行われた台湾大学中文系とのワークショップ「二十一世紀中国研究的新面向―文学、文化、語言」において、唐建国の英雄たちが清代に刊行された小説の中でどのように描かれているかを検討し、唐太宗、薛仁貴、尉遅敬徳の最後が従来の作品と異なり「悲劇的」に改変されていることを指摘し、清乾隆期の文芸上に悲劇を求める風潮があった可能性を提示した「从“英雄悲劇”視角看《羅通掃北》創造的起點」と題する発表を行った。
2.清代小説版本および演劇抄本の収集、整理
国家図書館(北京)、首都図書館(北京)、北京大学図書館、華東師範大学図書館(上海)、上海図書館(上海)、国家図書館(台湾)に所蔵される小説および戯曲資料の閲覧、収集を行った。上海図書館では『説唐後伝』乾隆33年刊鴛湖最楽堂本の閲覧請求を行なったが、破損がひどいとのことで謝絶された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究テーマの「薛家将」と関連の深い「羅家将」の代表的な物語である『羅通掃北』に対する考察がある程度進んだ。「唐建国の英雄物語の焼き直し」という従来の考えを打破して「英雄悲劇」というパースペクティブを獲得し、「清代乾隆期文芸における悲劇」に対する考察に進んだ。
また、資料収集についても当初の計画通り実行できた。ただ、『説唐後伝』の乾隆33年刊本を閲覧できなかったことは誤算であった。

今後の研究の推進方策

1)清朝乾隆期文芸と「英雄悲劇」風潮に対する考察を深め、論文としてまとめる。
2)2019年度に収集した資料の整理、検討を行う。その中に、「鎖陽関」と題する抄本(皮影戯の影巻か?)で影印化されていないものが上海図書館、国家図書館(台湾)にあり、特に台湾のものはまとまった巻数があったので、この内容を清朝宮廷演劇における薛家将劇と比較考察する。
3)日本国内に所蔵される『説唐前伝』『後伝』『三伝』の版本を閲覧、収集する。

次年度使用額が生じた理由

2020年2月から3月にかけて資料収集のため中国を再訪する予定だったが、12月末に発生したCOVID-19のため中国への渡航が禁止されたため、旅費として計上していた予算が実質的に執行不能となってしまった。今後も中国へ行けるかはわからないので、日本での流行がある程度落ち着いたなら、国内で資料収集する際の費用とする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 从“英雄悲劇”視角看《羅通掃北》創造的起點2019

    • 著者名/発表者名
      柴崎公美子
    • 学会等名
      「二十一世紀中国研究的新面向 ―文学、文化、語言」

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公開日: 2021-01-27  

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