本研究は、20世紀のフランス思想における主体批判を踏まえながら、バタイユ思想を手がかりに思考と主体の関係を問い直すことで、主体概念の見直しを図るものである。 研究成果としては、著書『脱ぎ去りの思考――バタイユにおける思考のエロティシズム』によって、バタイユの「非‐知」が理性の主体的な行使なしに成立しえないことが明示され、論文「終わりなき有限性――ジャン=リュック・ナンシーにおける「外記」としてのエクリチュール――」によって、バタイユ思想を引き受けたナンシーにおいて、主体による「書き込み」行為とエクリチュールにおける意味の過剰性との関係が明らかにされた。
|