本研究は、室町後期から戦国時代にかけて『源氏物語』の受容史に大きく影響した連歌師の講釈・注釈活動の実態を、現存する注釈資料の調査を通じて解明し、またその活動が果たした源氏学の地方への広がりと、その伝播過程において源氏学自体に起こった変容とを追跡することを目的とした。(1)連歌師宗祇の活動の解明、(2)宗祇門の重要な弟子、特に宗碩と兼載とその門弟の活動の解明、また(3)連歌師の活動を反映する源氏学関連資料の調査、以上3つの具体的な課題を設定して研究を行い、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながら、入手できた一次資料に基づいて検討を重ね、連歌師による源氏学の実態把握を幾分進めることができた。
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