2021年度も、COVID-19により、ロシア実地調査ができなかったため、ツングース諸語や周辺言語に関する記述文法、テキスト、辞書、先行研究等の文献資料に基づき、本研究助成の課題であるツングース諸語における地域的分布と類型論的相違の相関性に関する研究に取り組み、下記の研究成果を得た。 ・研究実績①:ツングース諸語における定動詞直説法の時制体系が、ツングース諸語の地域的分布によって相違(北ツングース諸語:非未来・未来、東ツングース諸語:過去・現在・未来、南ツングース諸語:非過去、未来専用形式の欠如)が見られ、周辺言語における定動詞直説法の時制体系と類似していることを示し、言語接触の可能性を提起した。同研究成果を日本北方言語学会第4回大会(兼国際シンポジウム)で発表し、「地域言語学的観点から見たツングース諸語の定動詞直説法の時制体系」という題目で『北方言語研究』12号に論文投稿を行った。 ・研究実績②:ツングース諸語における目的節を構成する形式がツングース諸語の地域的分布によって異なっていること(北ツングース諸語:目的副動詞(遠命令形と同じ形式)、東ツングース諸語:目的副動詞(遠命令形と異なる形式)、南ツングース諸語:目的副動詞の欠如、目的後置詞)を明らかにした。同研究成果をSeoul International Altaistic Conference 2021(国際会議)と2021年度第1回「「アルタイ型」言語に関する類型的研究(2)」共同利用・共同研究 課題研究会で、研究発表を行った。
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