本研究は、ツングース語族に見られる地域的分布と類型論的相違の相関性を明らかにし、同現象を周辺言語との接触に起因するという地域言語学的観点から考察することを目的とする。その研究成果として、6つの文法特徴【1)サハリン地域に分布するウイルタ語、アイヌ語、ニヴフ語における複数接辞の用法、2)第Ⅲ群のツングース語族におけるウイルタ語の特異性、3)同主語副動詞語尾を用いた異主語文、4)北ツングース語族とコリマ・ユカギール語との類型論的類似性、5)ツングース語族における定動詞直説法の時制体系、6)ツングース語族における目的節形成形式】に見られる類型論的相違を周辺言語との言語接触の観点から解明した。
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