児童作文研究のための言語資源の整備と、それを利用した構文の複雑性に関する研究を行った。言語資源については、既存の作文コーパスの整備と節境界ラベルの付与を行った。 統語的複雑性については、自然言語における係り受け距離の増大が抑制的であることを確認する一方で、ごく短い文においてはランダムに生成した構造よりも係り受け距離が長くなることを確認した。これは児童の統語能力の発達が、複雑化と合理化の混合によって複雑に進行していることを示唆する。また節の種類の分析からは、等位構造から従位構造へ、話し言葉的な文体から書き言葉的な文体へという変化が学齢の上昇に伴って観察されることを実証的に確認した。
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