研究課題/領域番号 |
19K23070
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
今泉 祥子 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80535013)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 画像暗号化 / 可逆情報埋込み / 画像検索 / 画像圧縮 |
研究実績の概要 |
原画像に対してあらかじめ埋め込んだ情報を,暗号化処理後の出力画像から抽出することができる可逆情報埋込み法を開発した.この手法では,まず,原画像を一定サイズのブロックに分割した後,各ブロック内の画素値やその配列に応じて,そのブロックに対する埋込みの可否や埋込みブロックの順序を決定し,ヒストグラム移動を用いた可逆情報埋込み処理を施す.ここで,情報埋込みが施された画像の品質は,定量的にも定性的にも高く保持される.その後,埋込み処理と同一のブロックに基づき,条件に応じたブロックベースの暗号化処理を施す.この暗号化処理の導入により,暗号化後の画像に対しても一定の圧縮効率が与えられる.一連の処理により,出力画像から,暗号を解除することなく,原画像に埋め込んだ情報を抽出することが可能となる.したがって,埋込み情報がその画像自身に関する情報である場合,暗号化処理が施され,画像内容が秘匿された状態の出力画像であっても,あらかじめ埋め込まれたその画像に関する情報を抽出することで,暗号を解除することなく画像検索が可能となる.さらに,提案法は,暗号化後に情報を埋め込み,暗号を解除した後でその情報を抽出することも可能であり,埋込み領域を選択できる手法である.なお,提案法により生成された出力画像に対して,情報抽出,暗号解除がともに施された場合,原画像が損失なく完全に再生できる.シミュレーションにより,提案法で生成された出力画像について,秘匿性能と圧縮特性の観点から評価を行い,提案法の有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では,画像に対して著作権などの情報を画像自身に埋め込み,また,暗号化処理を施すことで画像の内容を秘匿するシステムの構築である.具体的には,①埋込み画像の画質劣化が視覚的に認識困難であること,②暗号解除することなく,先に埋め込まれた情報が抽出できること,③暗号化後の画像に対しても圧縮が概ね有効であること,④暗号化画像の状態で,画像検索を可能とすること,の四つの特徴を同時に実現することを目標としている.現時点において,処理条件の複雑性などは伴うものの,すでに,これらすべてを同時に実現する手法を確立している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,おもに,今年度開発したシステムに伴う処理条件の煩雑性の改善について研究する.また,提案法は,情報埋込み処理に対して可逆性,すなわち,情報抽出により原画像の完全復元を保証するものである.したがって,情報埋込み後の画像を圧縮する方式も,JPEG2000やJPEG-LSなど可逆圧縮方式の利用に限定される.そこで,非可逆な情報埋込み処理の導入を検討することにより,JPEGなどの非可逆圧縮方式の利用も可能とし,より柔軟なシステムの構築を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスのため予定していた学会発表が中止となり旅費など発表にかかる費用が利用できなかったことと,他で採択された研究助成金で購入した解析用PCを用いて今年度の実験を達成できたことから,使用額に剰余が生じている.次年度は,解析用PCを新たに購入し,より複雑な実験を行うとともに,国際会議や英文論文誌への投稿を複数予定しており,これらの遂行に利用する.
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