研究課題/領域番号 |
19K23077
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
北原 圭一郎 香川大学, 教育学部, 准教授 (50848471)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 源氏物語 / 伊勢物語 / 贈答歌 |
研究実績の概要 |
本年度は、『源氏物語』や他の物語文学作品における贈答歌の全体的な描き方、人物ごとの描き分けについて主に研究を進めた。 成果としては、以下の2本の研究論文を発表した。第1に、「『伊勢物語』六十九段論―斎宮の人物造型を中心に―」(『香川大学国文研究』45、2020年09月)では、『伊勢物語』の主要章段の1つである69段を取り上げて、主人公の男女の間で交わされる贈答歌と短連歌を詳細に分析することで、禁忌の逢瀬という設定のもとでの男女の心情がどのように描かれているかを検討し、当章段の文学史的達成について明らかにした。第2に、「『源氏物語』の贈答歌における返歌の方法について」(『日本文学研究ジャーナル』17、2021年03月)では、贈歌に対する返歌の対応の質に焦点を当てて、『源氏物語』における贈答歌の対応方法の描き分けがどの程度見られるかを網羅的に論じ、1例として若紫巻の紫の上求婚歌群の贈答歌の役割について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
『源氏物語』『伊勢物語』などの物語作品における贈答歌の分析については予定通り進行しているが、『万葉集』や私家集などの同時代の和歌の分析については、2020年度から流行している新型コロナウイルスの影響で、本文などの基礎文献の収集が困難な状態が続いており、一時的に中断の状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響により資料収集が困難な状態が今年度も当面は続くと考えられるため、収集済みの資料で進めることが可能な『源氏物語』に重点を置いた研究を進めていく予定である。具体的には、後朝の歌など特定の場で詠まれる贈答歌に焦点を当てることで、作品内における贈答歌の描き分けの効果について引き続き考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により資料収集が困難な状況が続いており、当初予定していた調査の見通しが立っていないため。
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