研究課題/領域番号 |
19K23080
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
明田川 聡士 獨協大学, 国際教養学部, 専任講師 (30844203)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 台湾 / 台湾文学 / 歴史 / 太平洋戦争 |
研究実績の概要 |
2020年度は、研究課題「戦後台湾文学における『戦争記憶』に関する基礎的研究」について下記の業績をあげることができた。
(1)研究成果の公表:2020年度は、2回の学術論文の発表ならびに1回の共著の発表を行った。学術論文については、日本語論文では「台湾文学における戦争記憶の継承――呉明益『眠りの航路』から『自転車泥棒』へ」を『マテシス・ウニウェルサリス』(第22巻第2号、2021年3月)にて発表した。中国語論文では「戦争記憶与想像――論李喬小説中太平洋戦争敘事与反戦書写」を『台北大学中文学報』(第29期、2021年3月)にて発表した。また共著については、『2019年台湾文学年鑑』(台南市、2020年12月)を執筆した。研究期間が二年目に入ったこともあり、今年度は特に海外に向けての研究成果の発信に力を入れた。これらの成果により当初の研究計画で予定していた、①民間人としての戦争経験者による戦争記憶の解明、②戦争経験を持たない新世紀の作家による戦争記憶の解明、の研究が済んだことになる。 (2)資料・書籍の購入と分析:台湾・台湾文学・台湾映画に関係する書籍資料や研究書、DVD等の映像資料を購入し、分析を進めた。 (3)資料の調査・収集と分析:2020年度中に台湾と中国で資料調査・収集を行い、現地の文学研究者とも意見交換をする予定であったが、新型コロナウイルス感染症(covid-19)のパンデミックにより渡航を中止した。ただし、資料収集については、大学図書館での海外ILLサービスを利用し、文献を可能な限り集めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は研究2年目にあたり、これまでに続けてきた台湾文学研究の蓄積のもと、本研究課題はおおむね順調に進展している。
研究成果については、2篇の学術論文の発表、1冊の共著の執筆を行うことができた。当初予定していたように、年1~2篇程度の論文発表を行うことができている。ただし海外の文献については、新型コロナウイルス感染症(covid-19)のパンデミックにより現地での資料調査・収集が行えなかったため、研究計画の中にあった「従軍経験のある台湾人作家による「戦争記憶」の解明」については論文刊行が間に合わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本研究期間を一年延長し、継続して資料収集や現地での文献調査を行いながら分析を進め、研究成果を発表していきたい。新型コロナウイルス感染症(covid-19)のパンデミックにより、2020年3月以来、台湾と中国での現地での資料調査・収集が行えていないが、今後は大学図書館での海外ILLサービスをさらに活用し、資料調査・収集を行う予定である。
2021年度には、2020年度中に論文刊行まで至らなかった「従軍経験のある台湾人作家による「戦争記憶」の解明」について公表予定である。また、本研究での研究成果の一部については、2021年度中に学術書(単著)のかたちで公開する準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度中に台湾と中国で資料調査・収集を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症(covid-19)のパンデミックにより渡航を中止したため、当初の予定使用額を執行することができなかった。
今後は大学図書館での海外ILLサービスを活用すると同時に、2021年度夏、秋以降に台湾での資料調査・収集を行う予定である。
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