研究課題/領域番号 |
19K23088
|
研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
藤原 愛 明星大学, 教育学部, 准教授 (70611309)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
キーワード | ELF / 歯摩擦音 / 日本語母語話者 |
研究実績の概要 |
日本語母語話者の英語の発音をEnglish as a Lingua Franca(ELF)の枠 組みで捉え、そのintelligibility (明瞭性)を検証するために、Lingua Franca Core (LFC) の項目のうち「日本語母語話者が困難を感じる」とされる歯摩擦音について、日本語母語話者の代替音素のintelligibilityについて、とりわけ文化的交流やビジネス上での 関わり合いが受容となっているアジア圏の英語話者がどれだけ許容するかを調査するため、2019年9から10月に日本語母語話者による歯摩擦音を含む英語音声データの収集(日本語母語話者の 大学生35名の音声データ)を収集した。 11月から2020年1月にかけて、録音した音声データに関し、音声データ分析により英語の歯摩擦音における日本語母語話者の代替音素のリスト化を行った。また、11月の16日には、先行研究部分と今までの調査結果について、「Teaching English Pronunciation to Japanese EFL Learners: Contrastive Analyses of English and Other Languages」という題目で東京で行われた9th Annual Professional Development Forumにて発表を行った。その一方で、2020年5月から6月にかけて中国と韓国の大学で音声データに対して評価を行ってもらう予定であったため、中国は遼寧師範大学、韓国は仁川大学(と、念のためソウル市内のもう一校)に依頼することで、調整をはかった。1月から3月にかけては、評価のために使用する音声データの選定を行った。特に歯摩擦音が代替音素で発音された際に、文脈があれば相手に理解されるかという観点と、歯摩擦音の出現環境(語頭、語中、語末)による、聞き手の理解度の差は生じるかをとの視点も足し、歯摩擦音について多面的に評価できるよう、データ選定に配慮した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年2月以降、新型コロナウイルスの影響により、調査先の中国、韓国の大学も閉鎖となり、現地でお世話になる教授の先生方とも、このような時期に調査の話を押し進める雰囲気では全くなく、5月から6月に予定していた研究計画「(3) 標準中国語(普通話)母語話者と韓国語母語話者による収集した音声データの評価(中国 語母語話者の大学生10名、韓国語母語話者の大学生10名による音声データの英文書き取り、 また各被験者の英語を最低値 1(訛が強い)、中間値 4(非母語話者の発音として許容)、最高値 7(ネイティブス ピーカ)の 7 スケールで主観的に判断。)」について、実施が全くの未定となっている。国内の緊急事態宣言の影響もあり、大学への登校禁止、保育園の休園、在宅勤務といった環境の変化もあり、2020年4月以降全くこの研究に関与することができないでいる。 また、予定されていた海外の学会の中止や開催時期延期も相次ぎ、当初の計画通りの研究が行えない状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスが収束し、中国と韓国の大学での授業が通常に戻ること、海外への渡航自粛の解除、となった時点で、再度調査依頼先の大学の担当者と日程を調整する作業に入るが現時点では、調整に入れる時期も現時点では未定である。年内の調査実施を目指して、段階的な研究計画の見直しを行う。 また、当初より研究計画で予定していた11月からの論文執筆および1月の国際学会の発表に関しては、計画を変更することなく、日本人母語話者の歯摩擦音の代替音素や、そこから得られる示唆についてまとめ発表する方向で進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に申請した明星大学の研究助成金である「重点支援研究費」が採択されたことで、研究環境の整備に関わる物品の一部と書籍等の購入が可能となったため。また、国内で開催された国際学会への参加が東京で行えたため、旅費の支出が抑えられたため。 2020年度は海外での調査の渡航費と謝礼金、学会発表、論文執筆と併せて、データの保存に関する物品の購入、図書の購入と合わせて、研究2019年度に研究を進めてきた際に気づかされた、録音環境の整備に研究費を使用していく。
|