研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、院政期から鎌倉初期に活躍した歌学者・顕昭の歌学が後代どのように受容されたかを調査した。鎌倉後期の歌人・飛鳥井雅有は顕昭の著作をまとめて書写し、実際にその説に学んだことが知られる人物である。一方で、彼の和歌には顕昭説の影響を明確には指摘しえない。彼の場合、顕昭の歌学の受容という点では研究と実作との間に距離がある。顕昭の歌学は、研究面において、彼が主として学んだ御子左家説を相対化する役割を果たしたと考えられる。
中古・中世の歌学の研究
本研究では、飛鳥井雅有における顕昭の歌学の受容について、彼の活動と和歌作品の両面から実態を明らかにすることを目指した。雅有は顕昭の歌学書を書写しそれらに学んでいたという事実がある一方で、彼が詠んだ和歌からは顕昭説からの確かな影響を指摘することが難しい。研究活動や知識の習得が必ずしも実作に直結するわけではないことを改めて確認した点に、意義があると考える。