研究課題
本研究の目的は、基礎医学英語論文における定型表現の記述であった。特に最終年度では、基礎医学英語論文における論理展開を明らにするために、副詞を含む定型表現を記述した。2014年に出版された300編(総語数約150万語)を、IMRDの4つのセクションを3つごとに、計12のムーブ (パート)に分けたコーパスデータを収集した。コーパス解析ソフトCasualConc (今尾, 2019)を用いて、全体コーパスを母集団とし、各ムーブに統計的に有意な語を算出した。各ムーブで算出された語のうち、副詞に注目し、副詞を含む主に4語連鎖を抽出した。またコンコーダンスラインを観察することで、各ムーブの定型表現を記述し、副詞の役割を明らかにした。特にResultセクションにおいて、「結果を示す」ムーブが用いられる際は、強意の副詞(InterestinglyやImportantly等)が、ムーブの目印となりうることを定型表現とともに示した。またIntroductionセクションにおいて、3つのムーブの副詞を含む3語連鎖から5語連鎖を語連鎖のパターンと機能の関係に注目し、分類することに成功した。これらの定型表現は、研究成果として、英語コーパス学会で口頭発表(英語)や日本英語コーパス学会や広島大学紀要において論文(英語)とした。また国際学会(オンライン開催)で成果を発表した。本研究によって、基礎医学英語論文における副詞が論理展開にとって重要な役割を果たすことが、ムーブごとに具体的な副詞を含む定型表現を示すことで明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Reviews in Higher Education
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Bulletin of the Graduate School of Humanities and Social Sciences, Hiroshima University. Studies in education
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