善隣友好関係は絶えず葛藤や対立を内包しつつ維持されていた。200年以上にわたって日朝間で善隣友好の関係が維持され続けたとするならば、日朝両国が葛藤や対立を消滅させ、関係を維持・再生産させるためにどのような工夫を重ねてきたのかという「過程」の究明が必須の作業となる。 上の「過程」を担当したのが対馬藩の裁判役である。裁判役は、対馬藩が朝鮮へ派遣した使者のうち、規則的な外交儀礼を本務とした他の使者とは異なり、日朝間に生じた紛争事案ひとつひとつに即した折衝を本務とした。しかしながら、裁判役に関する研究は不十分である。裁判役を媒介に上記した「過程」を検討する必要がある。
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