研究課題/領域番号 |
19K23110
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
齋藤 久美子 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (90432046)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | オスマン朝 / アナトリア南東部 / 境域 |
研究実績の概要 |
本研究は、おもに16世紀から17世紀までを対象としつつ、中東においてアラブ圏・イラン圏・トルコ圏の境界域に位置し、オスマン朝史研究の文脈では「帝国の周縁」や「特殊な地域」として認識されるアナトリア南東部の地域的特性について再考するものである。その際、申請者がこれまで研究してきたアナトリア南東部の政治・社会状況に加え、新たに同地域を中心とした経済活動に注目して分析をすすめる。本研究を通じて、オスマン朝とサファヴィー朝の緩衝地域および東西を結ぶ交易ルートの中継地域というアナトリア南東部に関するこれまでの捉え方に対し、当該地域に関する内在的理解を深めることを目的としている。 今年度の研究実績の概要は以下の通りである。はじめに、大学図書館やインターネット活用により研究課題に関する先行研究をチェックし、日本でも入手可能な文献を出来るかぎり収集した。そして、これらの文献も利用しつつ、16世紀から20世紀までを対象としたイランとトルコの境域史に関する試論「オスマン朝東部辺境の地、アバガ-地図から消された一地域の歴史的個性をめぐって-」を『史淵』(九州大学文学部)157号に発表した。また、トルコ共和国で刊行予定のオスマン朝の地方行政組織に関する論文集に「アナトリア南東部におけるオスマン支配-ユルトルク・オジャクルク、ウルケリキ、エヤーレト、ヒュキューメトという用語の分析から-」(トルコ語)と題する論文を寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の遂行のために最も重要な作業がトルコ共和国のオスマン文書館における文書史料の調査・収集であるが、今年度末の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、調査を中止せざるを得なくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進展はオスマン文書館での文書史料の調査・収集に大きく左右されるが、現段階ではトルコでの調査がいつ可能になるか全く予測がつかない。そのため、これまでと同様、大学図書館やインターネットにより日本で入手可能な文献を出来るかぎり収集し、それらを利用して研究発表の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、2月末から3月初頭に予定していたトルコ出張を中止したためである。その使用計画も新型コロナウイルスに大きく影響を受けると予想されるが、終息した場合は調査のための旅費に、そうでない場合は文献購入や資料の複写費に使用する予定である。
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