研究課題/領域番号 |
19K23110
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
齋藤 久美子 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (90432046)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | オスマン朝 / アナトリア南東部 / 境域 |
研究実績の概要 |
本研究は、16世紀から17世紀までを対象としつつ、中東においてはアラブ圏・イラン圏・トルコ圏の境界域に位置し、オスマン朝史研究の文脈では「帝国の周縁」や「特殊な地域」として認識されることの多いアナトリア南東部の地域的特性について再考することを目的としている。具体的には、研究代表者がこれまですすめてきたアナトリア南東部の政治・社会状況の考察に加え、新たにアナトリア南東部を中心とした経済活動にも注目しつつ分析をすすめている。 今年度の研究実績の概要は以下の通りである。まずは、研究機関の図書館やインターネットを活用して本研究課題に関連する既往研究を調査したうえ、日本でも入手可能な文献の収集につとめた。それと同時に、16世紀のオスマン朝治下で作成された『租税台帳』に付されている県単位の「租税規定」のうち刊行されているものに記載のある交易品に関連して、①織物、皮革、薬種・香料、染料、鉱物・顔料、森林資源類といった商品の日本語訳の確定、②原産地が不明な商品については原産地の特定、③さらには交易品のアナトリア東部での流通経路、以上の3点を明らかにするために、各時代の植物誌や薬物誌、植物事典といった各種の辞書・事典類、さらに16世紀から17世紀の旅行記なども利用しつつ検討をおこなった。そして、これらの研究の成果の一部を、「16世紀アナトリア東部における交易と権力」と題して、2021年12月の九州史学会において研究発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究を遂行するには、トルコ共和国に所在する文書館や図書館での史料調査が必要である。しかしながら、2020年から続く新型コロナウイルスの感染拡大により、当地での史料調査がいまだにできていないため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同じく、研究機関の図書館やインターネットを利用しつつ日本でも入手可能な文献を収集し、それらを利用して研究をすすめる。ただし、本研究をすすめるためには、トルコの文書館や図書館での史料調査をおこなう必要がある。トルコでの新型コロナウイルスの新規感染者数もだいぶ減少してきたようであるため、今年度の夏期か春期に現地での史料調査を計画しているが、今後の感染状況によっては渡航を見合わせる可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、2020年から続く新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、予定していたトルコでの史料調査を中止したためである。使用計画については、やはり新型コロナウイルスの今後の感染状況に大きく左右されるが、終息した場合はトルコでの史料調査のための旅費に、終息しない場合は文献収集や資料複写費などに使用する。
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