本研究は、弥生・古墳時代における石製玉類の生産に関して、原石産地調査、玉造遺跡・墳墓出土資料の調査を行う。これにより、原石産地のどの地点で石材を採取しているのか、どのように採取しているのか、時期によって採取地点・方法に変化はあるのか、これらは地域によって違いがあるのか、等を確認し、玉類の生産体系や歴史的社会的背景を明らかにすることを目的としている。併せて、遺跡としての原石産地のさらなる調査方法や課題、地域資源としての保存と活用を視野に入れた展望を明らかにする。研究対象は、石川県滝ヶ原碧玉原産地遺跡、島根県花仙山、新潟県猿八など、各地の原石産地としている。中でも、地元である石川県滝ヶ原碧玉原産地遺跡の現地状況確認を先行して行うことで、その後の他地域との比較検討へつなげたいと考えた。 令和4年度は、野々市市ふるさと歴史館(御経塚遺跡、押野ウマワタリ遺跡、押野タチナカ遺跡、押野大塚遺跡、長池ニシタンボ遺跡、二日市イシバチ遺跡、徳丸ジョウジャダ遺跡、高橋セボネ遺跡)や福井市郷土歴史博物館(天神山古墳群)において、出土資料の調査を進めた。さらに、原石産地における研究方法の事例として、黒曜石原石産地や戸室石石切場遺跡における調査・研究動向を整理し、いまだ調査・研究が行われていない碧玉原石産地の研究の必要性を明確化することができた。 また、玉類研究者と打合せの場を設け、今後の研究の展望や方向性について意見交換を行った。 研究の成果の一部は、野々市市主催の市民向け講座「ののいちコミュニティカレッジ」にて口頭での講演発表を行った。
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