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2020 年度 実施状況報告書

現代ルワンダにおける暴力の記憶の分有と継承に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K23141
研究機関京都大学

研究代表者

近藤 有希子  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (10847148)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2022-03-31
キーワード情動 / 沈黙
研究実績の概要

本研究の目的は、現代ルワンダにおいて、紛争と虐殺に関わる個別の特異な体験とその記憶が、親密な他者とのあいだに分有され、さらにそれが若い世代の者たちに継承されていく姿を民族誌的な記述を重ねるなかで検討することである。
令和2年度には、令和1年度に実施することができなかった「大人世代の個別の記憶」「若者世代の『体験』の継承」に関する現地調査を遂行するための渡航を待望したものの、令和年度にひきつづき、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行による影響でその機会は得られなかった。したがって、記憶論や情動、沈黙、トラウマ等に関する先行研究を検討し、アフリカの他地域やアジア、日本にも視野を広げて、極限的な状況下を生き抜いた人びとの民族誌を読み込むなかで、理論的な方向性を明確にすることに専念した。なお、インターネット環境にあるルワンダ人の調査協力者には、一部、メールによる補足情報の聞き取りをおこなった。
研究成果の公開としては、令和1年度におこなった国際シンポジウムでの発表および討論の内容を『立命館大学生存学研究』に掲載した。また、令和1年度末の渡航でルワンダから緊急帰国した際の出来事とルワンダ政府の初期のコロナ対応等に関して、雑誌『MFE(多焦点拡張)』の創刊準備号にエッセイとして綴った。加えて、ルワンダ虐殺にかかわる最新の歴史研究に対する書評1点、アウトリーチ活動としてのエッセイ1点を母校の『同窓会報』に寄稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症の世界的な流行による影響で、令和2年度もルワンダでの現地調査が実現できず、研究に必要な資料が手に入っていないため。
ただし、このような状況はまだしばらく継続しうることを鑑みて、国内でも入手可能な資料の収集にあたるとともに、これまでの調査資料を丹念に見直して再検討をおこなうなかで、令和3年度もひきつづき当該の研究課題に取り組んでいく。

今後の研究の推進方策

令和3年度については、ルワンダやその周辺地域、および日本国内の新型コロナウィルス感染症の状況に注視しながら、もしルワンダでの現地調査に従事することができる場合には、令和3年度後半を目途に現地調査に従事する。ルワンダへの渡航が難しい状況がつづく場合には、これまでに収集した調査資料のうち、未整理のものに関する分析をすすめる。それらを学術雑誌における論文や書籍の一部を構成する論文として出版するための執筆をおこない、関連する学会や研究会などで口頭発表をおこなって成果の公表に努める。

次年度使用額が生じた理由

令和2年度に実施予定であったルワンダでの現地調査が、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行による海外渡航の自粛で実施できなかったため。令和3年度に渡航が可能である場合には、現地調査の期間を増やして調査旅費として用いる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 哀惜のけしき―中村哲先生の訃報に接して―2020

    • 著者名/発表者名
      近藤有希子
    • 雑誌名

      『西南学院同窓会報』

      巻: 87 ページ: 11

  • [雑誌論文] 「未来は明日を生き抜くものに」―異邦人のチョコレートとルワンダからの退避について―2020

    • 著者名/発表者名
      近藤有希子
    • 雑誌名

      『MFE(多焦点拡張)』

      巻: 創刊準備号 ページ: 64-71

  • [雑誌論文] 沈黙する発話、情動する身体―ルワンダに生き残る暴力の記憶と痛みへの想像力―2020

    • 著者名/発表者名
      近藤有希子
    • 雑誌名

      『立命館大学生存学研究』

      巻: 4 ページ: 77‐97

  • [雑誌論文] 書評:鶴田綾『ジェノサイド再考―歴史のなかのルワンダ―』名古屋大学出版会、2018年、ⅳ+352頁2020

    • 著者名/発表者名
      近藤有希子
    • 雑誌名

      『アジア・アフリカ地域研究』

      巻: 20‐1 ページ: 152-155

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公開日: 2021-12-27  

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