本年度の研究活動スタート支援「アオウミガメを例にした稀少動物に対する人為空間の構造的理解に向けての比較研究」では、地図学・地球地図整備・地球測地観測網などの研究についての学習と共に、①地球上の異なる二つの空間(a. 北緯40~45度、b. 北緯30度付近)を設定し、その二点における現地調査をおこなった。また、②近代的な科学技術の影響の一例として、最新型の感染症ウィルス蔓延下における人為活動について記録を残した。以上の成果やこれまでの申請者の研究(A民族の研究)を用いて、近代的な科学技術を用いた稀少動物に対する人為的な空間構造の人類学的(又は人間学的)な特殊性は、どのようにして理解できるかについての検討をおこなっている。以下は、①現地調査結果及び②成果の簡単な概要である。 ①現地調査:(a. 北緯40~45度)北緯40~45度は冷帯・亜寒帯に属する。この地には湿原がある。この湿原近くには廃線も多い。自然が人為を圧倒するような印象を与える。鹿が線路に突如現れてきて、電車と衝突するようなことも度々おこる。熊が畑に巣を作って住人たちの脅威となるような場所でもあり、狐が媒介する感染症にも怯えて暮らすような場所であった。特産物の鮭が産卵に訪れるような河川は、冬の間に堤防の改修をおこなうなどして、漁期に重ならないように泥水の流出を管理する。こうした整備が積雪期の間に仕事のなくなった季節労働者に貴重な富をもたらす。(b. 北緯30度付近)緯度N30°付近は熱帯・亜熱帯に属する。この空間はほとんどの場所が海に沈んでいる。隆起した火山島では獣害や除草が大きな課題となる。積雪の残るaと対照的に、bは気温が20度を超え、原生を彷彿とさせる自然を開拓した暮らしが残る。 ②成果:近代的な科学技術の影響の一例として、最新型の感染症ウィルス蔓延下での暮らしについての生活記録簿の研究をおこない成果を発表した。
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