研究課題/領域番号 |
19K23146
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前田 星 北海道大学, 法学研究科, 助教 (60844587)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 魔女裁判 / 聖職者 / 刑事裁判 |
研究実績の概要 |
本年度は、コロナ禍のため、当初予定していたドイツに渡航しての史料調査が不可能であった。そのため研究計画の変更を余儀なくされ、二次文献の調査に多くの時間が費やされた。 本研究の目的は、近世における神学者や聖職者の法学的素養について、神学部の学位請求論文などから確認する事だった。しかし渡航が困難な状況であるため、当初予定していたケルン大学における学位請求論文の調査は断念し、刊行された神学者や聖職者の文献をサンプルとして目的の一端を達成することに計画を変更した。 そのように変更された研究計画の中で、17世紀のヴェストファーレン公領近辺において魔女裁判をめぐる言論活動を展開していた法学者、神学者(聖職者)を多数リストアップすることができ、来年度には彼らの手による文献の調査・読解を予定している。とりわけ神学者や聖職者たちの文献からは、彼らの刑法学についての理解の程度を垣間見ることができると予想される。 またこの研究に関して、本年は一本の査読付き論文を執筆し、学術誌に投稿した。この論文は、ヴェストファーレン公領における魔女裁判の実務を、具体的に未刊行史料等を用いて明らかにしたものである。その際には、同地で聴罪司祭として活動していたミヒャエル・シュタッパートの記録も参照し、彼の目から見た魔女裁判手続についても論述した。ミヒャエル・シュタッパート自身は特に法学的な訓練を受けた人物ではなかったようだ。彼はシュペーと同様に、道徳神学的な立場から魔女裁判手続、とりわけ拷問や誘導尋問を批判しているが、当時の刑法学の議論については言及しているわけではなかった。シュタッパートは刑法学の議論についてはそこまで明るくなかった可能性はある。この論文は2021年度中に刊行される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、研究計画の大きな変更を余儀なくされたために、研究の進捗は遅れている。正確には、目的がより限定され、手段が大幅に変更されている。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、本研究の目的は、近世における神学者や聖職者の法学的素養について確認する事だった。そのために当初はドイツに長期間滞在し、ケルン大学において神学部の学位請求論文を調査する予定であった。 研究計画の変更を余儀なくされたため、既に刊行されているいくつかの聖職者たちの文献を活用し、彼らの魔女裁判についての主張を確認することで、彼らの刑法学についての理解の一端を明らかにする事にする。Anton PraetoriusのGruendlicher Bericht von Zauberey vnd Zauberernはその目的に適うと思われるため、これを入手して読解するのが来年度の基本的な作業となる。その後、この文献から判明したことを論文としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では本年度でドイツにおける滞在と研究を予定していたが、コロナ禍のためにそれが不可能となった。また、予定されていた学会等も中止、あるいはオンラインでの開催となり、旅費が不要となった。このため、本年度で使用されるはずだった研究費が使用されず、研究計画の延長が申請され、認められた。 翌年度においては研究計画の変更に伴い、必要な文献の収集、特に海外にある史料を集めるために利用される。また、状況が許せば、短期間であってもドイツに赴いて史料調査を試みたい。
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