日本法、ドイツ法における寄付の法的構成に関する学説の検討を行なった。その結果、寄付財産については、募集者が破産した場合や、寄付財産が募集者の債権者から差押えを受けるおそれ等の寄付財産の処遇の問題が想定されており、それらに対応するためにも信託的譲渡説、信託法による構成が考えられてきたということを明らかにした。また、日本法、ドイツ法の諸学説の中には、三者が関与する寄付以外の寄付の類型について言及するものがあり、寄付の類型に応じた議論がなされていることも確認できた。さらに、現代における寄付の類型を適切に把握し、寄付の類型に応じた法的構成について前述の学説の議論を参考にし考察する方向性を見出した。
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