研究課題/領域番号 |
19K23162
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
望月 穂貴 早稲田大学, 法学学術院, その他(招聘研究員) (90844126)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 戦争権限 / 議会制 / 財政権 / 権力分立 / 安全保障 |
研究実績の概要 |
今年度は主として議会の財政権に着目した戦争権限の統制について検討を行った。アメリカ連邦議会は、連邦国家の観点から、その権限が憲法に限定列挙されている、「弱い議会」である。戦争権限については、大統領と連邦議会の権限は不分明と言われている。 しかし、財政について、連邦議会は強力な権限を発揮することができる。連邦議会が支出を禁止したり条件付けを行う場合、それを回避するのは困難である。歳出予算法案も法律(act)の一種であるからには大統領は拒否権を有するが、今日の政治状況にあっては、政治的インパクトがあまりに重大すぎて拒否権を発動しにくい。 冷戦の「安全保障体制」整備に止まって後退した執行権へのチェックを、ベトナム戦争以来復興させているが、そのチェックの中には軍や準軍事活動に対する財政支出の制限も含まれる。上記のような財政権の特質を活かして、歳出予算法案に特定の軍事活動への予算使用を禁ずるといった条項を盛り込む形で、軍事活動の規制を行のである。イラン・コントラ事件のように、執行権によって支出制限が無視される事件も発生しているものの、結局は執行権はその非を認めざるを得なかったのである。 もちろん財政権による統制に問題が存在しないわけではない。米国議会独特の法案審査・委員会制度の問題に加えて、現代の政治的分極化があだとなって、連邦議会の統制プロセスが窒息させられる危険性が高まっているのである。現代の政治状況から来る困難を念頭にいれつつ、さらに検討を深めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ問題のため、引き続き現地調査が叶わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究成果を公表するとともに、連邦議会による軍の統制についてさらに検討を行う。状況が許せば現地調査を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症問題の影響によって現地調査が困難な状態であった。次年度に可能であれば現地調査を行う。不可能であれば、文献調査を続行するために用いる。
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