戦争権限が現代において激しく論じられるのは、第二次大戦後にはじまる「安全保障国家」の整備による。この時期に行われた常備軍やその運用機構の整備によって、連邦議会が戦争権限に係わる機会が減少し、実質的に憲法が定めていた様々なプロセス(宣戦布告その他)が陳腐化し、爾来これへの対応を連邦議会は迫られている。本研究では、対応分野の一部である秘密軍事活動に対する議会の関与や、財政権を用いた軍事に対する統制活動について検討を加えた。さらに、連邦議会の戦争権限統制を困難にするのは、必ずしも単一の法案・活動の欠陥のせいではない。連邦議会の活動を困難とする現代政治の問題状況に対しても検討を加える。
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