• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

肖像の商業的利用を目的とする契約の法的性質と具体的規律

研究課題

研究課題/領域番号 19K23165
研究機関関西大学

研究代表者

隈元 利佳  関西大学, 法学部, 助教 (00847163)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2022-03-31
キーワード肖像権 / パブリシティ権 / フランス法 / 契約法 / スポーツ法
研究実績の概要

令和2年度に行ったことは、大きく次の2つに分けられる。
1つ目に、単著の論説「肖像商業利用における契約法上の規律――フランス法の検討による序論的考察」を研究代表者の所属機関の紀要において公表した。これは、令和元年度に練った構想を基礎とした上で、更にその後の研究内容も踏まえたものである。そこでは、肖像の商業的利用を目的とする契約の規律に関して、法律行為一般や契約一般に妥当する規律ではない固有の規律を探るという問題意識の下、フランス法の状況を取り上げた。すなわち、肖像の商業的利用を目的とする契約を、民法典という契約一般に妥当する規範に従って規律する破毀院第一民事部の判例法理と、特別法による個別の肖像利用類型の規律が併存する状況にあることを示した。このような研究の途中経過を踏まえ、フランスにおける個別の肖像利用類型に固有の規律について、より詳細に、類型的検討を行う必要があるとの認識に至った。
そこで、2つ目に、フランスにおける、様々な肖像利用に対する規律の類型的な調査・分析を行った。具体的には、ファッションモデルの労働契約に基づいて行われる肖像商業利用、プロスポーツ選手等の肖像等の商業利用契約に基づいて行われる肖像商業利用、ミューズ契約・スポンサー契約に基づいて行われる肖像商業利用、肖像の非商業的利用というグループに分けて、関連する法律及び判例の調査を行った。この類型的検討の成果は、令和3年度に、論説の形において何らかの雑誌に投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

一般法上の規律と特別法上の規律という観点からフランスの状況を俯瞰的な視点で考察した令和元年度と比較して、令和2年度は、個別の肖像利用類型の規律についての調査・分析という各論的な段階に移行した。この点に、一定の進捗を見出すことができる。もっとも、どのような要素を有する契約を、固有の規律を要する“肖像商業利用契約”という類型として捉えることができるかという点及びその類型の契約にはいかなる規律が及ぶべきであるのかという点にまでは考察が到達しなかった。この点は、令和3年度に持ち越された課題である。そのため、進捗状況の評価区分の選択を上記の次第とした。
なお、令和2年3月に、フランスにおけるスポーツ法分野の専門家及び実務家へのインタビュー並びに資料収集のための海外出張を予定していたものの、新型コロナウィルスの感染拡大により中止した。令和2年度中も、同様の理由により、これを改めて行うことはできなかった。また、研究代表者が報告をすることが予定されていた学会が新型コロナウィルスの感染拡大により中止となったため、学会を通じた対外的な研究成果発表の機会に関しては、当初の予定とは異なるものとなった。

今後の研究の推進方策

フランスにおいて見られる様々な肖像の商業的利用を、いかなる視点で、どのような類型化によって把握するべきか、ということについて考察を進める。このような考察を通じて、日本法において、どのような要素を有する契約を、固有の規律を要する“肖像商業利用契約”という類型として捉えることができるかという点及びその類型の契約にはいかなる規律が及ぶべきであるのかという点についての私見を提示する。そのために、肖像商業利用の根拠となる種々の契約、特に、ファッションモデルの労働契約、プロスポーツ選手等の肖像等の商業利用契約、ミューズ契約・スポンサー契約の内容・規律についての調査を継続する。
上記の研究内容を、論説の形において、何らかの雑誌に投稿する予定である。
なお、令和2年3月に予定しつつ中止となり、令和2年度中に改めて行うこともできなかったフランス出張については、状況が許せば令和3年度中に改めて行いたい。しかし、状況の見通しが立たないため、難しい場合には、研究期間内にこの出張を行うことを断念することも視野に入れている。

次年度使用額が生じた理由

令和2年3月に、フランスにおけるスポーツ法分野の専門家及び実務家へのインタビュー並びに資料収集のための海外出張を予定していたものの、新型コロナウィルスの感染拡大により中止した。そのため、令和2年度中に改めてこの出張を行う予定であった。しかし、令和2年度も同様の理由により、これを行うことはできなかった。この理由により、次年度使用額が生じた。状況が許せば、この次年度使用分を用いて、上記出張を令和3年度中に行いたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] パブリシティ権の独占的利用許諾を受けた者による損害賠償請求 : 大阪高判平成29・11・16判時2409号99頁(Ritmix 事件)2021

    • 著者名/発表者名
      隈元利佳
    • 雑誌名

      關西大學法學論集

      巻: 70-5 ページ: 1462-1476

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 肖像商業利用における契約法上の規律 : フランス法の検討による序論的考察2020

    • 著者名/発表者名
      隈元利佳
    • 雑誌名

      關西大學法學論集

      巻: 70-4 ページ: 936-965

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi