研究課題/領域番号 |
19K23169
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高島 亜紗子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (00850603)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 国際政治 / 外交政策 / 海外派兵 / 日本 / ドイツ |
研究実績の概要 |
本研究は海外派兵をめぐる政府の政策について、政党政治の観点から新たな分析を加え、海外派兵の増減が何によって規定されるのかを明らかにするものである。従来、海外派兵をめぐる議論では文化論が注目を浴びてきた。とりわけ注目されたのが、第二次世界大戦後、経済力を大幅に回復させながらも派兵に慎重であり続けた日本とドイツ連邦共和国である。こうした慎重な派兵政策は両国の文化に根差すと考えられてきた。しかし、冷戦が終結し、連合軍による武力行使が発生すると、こうした消極性が批判されるようになった。批判を受けてドイツ連邦軍が派兵人員を大きく増やし、1998年のコソボ空爆にも参加したのに対し、自衛隊は依然として海外派兵には消極的であり続けている。こうした両国の現在の差異は、これまで注目を浴びてきた文化論では説明ができない。本研究では両国の海外派兵政策を政党政治、特に野党の役割に注目して分析を進めることで、政策変化の因果を明らかにする。 プロジェクト三年目となる本年は、定量的分析と並行して定性的分析も進めた。これによって、野党の果たす役割、政権与党になった時の政党の選好変化についてさらなる分析を進めた。また、二年目より開始しているサブプロジェクト「民主主義国の海外派兵」の学会発表を通じて種々のコメントを受け取り、日本とドイツの特殊性及び普遍性も明らかになってきている。こうした発見は、本研究の枠組みにも活かされるものである。 新型コロナ感染状況により、年度内にドイツにはいけなかったが、次年度は調査旅行を計画している。また、研究代表者の所属変更に伴い、環境整備にも尽力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画として、初年度に研究環境の整備と定量的分析を行い、二年目となる2020年秋にドイツでの資料収集を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルスの拡大に伴い、2021年度も資料収集を行うこはできなかった。引き続き次年度に資料収集を計画しているが、2021年度は日本で手に入る資料を中心に定性的研究を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られた情報を基に、定量的分析を基にした論文を引き続き執筆している。予定より遅れているが、2022年度の発表を目指す。また、資料収集及びインタビューを行うために準備を進めており、2023年春までの渡航を目標としている。ドイツでは主に各政党が所有するアーカイブに赴き、そこで政党内、とりわけ野党内でどのような意見交換が行われていたかを明らかにする。さらに、政策立案者へのインタビュー調査を通して、ドイツ国内の安全保障政策をめぐる与野党間対立について、更なる知見を深めることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初より予定していたドイツへの海外渡航について、新型コロナの影響によって渡航が制限される状態が続いている。ワクチン接種等必要な準備が整い次第、ドイツへ渡航する予定であり、その渡航のために本予算を使用する。
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