研究成果の概要 |
本研究の目的は, 「自然」の社会管理を担う地震火山行政, 気象行政, 緑化行政の行政領域を対象として各行政活動を歴史的に把握し, 比較事例分析の手法を用いて政策ネットワーク間の差異性と共通性を抽出することにより, 「自然」の社会管理を担う行政活動固有の構造の解明を試みることである。 以上の目的から本研究は, 資料調査やインタビュー調査を通じて個別行政領域の綿密な実態把握を行い, 特に資源配分関係論の分析視角を用いて地震火山行政と気象行政の比較事例分析を行った。この成果は, 地震火山行政と気象行政の間にある組織内人的ネットワークの違いや政策的帰結などに関しその差異性と共通性を明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の主要な成果は, 「地震火山部創設後の気象庁―業務間の資源配分に関する考察」(『大東法学』第30巻第1号, 2020年)として公表した。従来, 地震火山行政や気象行政の政治学・行政学の研究は少なく, 地震火山部創設以降の気象庁内の予算や定員, 人事などの行政資源の配分実態を考察することにより, 本業績は近年までの地震火山行政と気象行政の特徴と変化を初めて詳細に比較して明らかにしたものである。また本業績は, 「自然」をめぐる行政活動の実態解明に寄与するだけではなく, 人々が防災を担う行政組織の現状を評価するうえで重要な情報を多く含むものとなっている。
|