研究課題/領域番号 |
19K23172
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
足立 真理 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 研究員 (10848675)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 地域研究 / 現代イスラーム経済論 / インドネシア / ザカート制度化 / 東南アジア / マレーシア |
研究実績の概要 |
本研究は、近年注目される東南アジアにおけるイスラームの義務の喜捨(ザカートと呼ばれる)の合理化/制度化に関して、その制度化のアプローチが対照的なインドネシアとマレーシアを取り上げ、地域研究の視座から明らかにするものである。両者の比較を通じて、現代的要請に対応したザカート制度化の具体的実態とその特徴および、差異化した過程をめぐる。 研究プロジェクト2年目である今年度は、世界的なCovid-19感染拡大のため、本研究課題遂行に重要なフィールドワークを実施することができなかったものの、以下の点について研究を推進した。 (1)ザカート管理団体の最新動向についてのデータ収集、整理 本研究が対象とする2カ国(インドネシア、マレーシア)のザカート管理団体の制度化の発展を理解するために、英語、インドネシア語、マレー語文献の収集を、オンライン上で精力的に行った。 (2)研究成果発表 研究成果の発表としては、国内2つ、国際ワークショップで2つの口頭発表を行った。具体的には、ザカートの合理化/制度化に関してこれまで着目していた分配面だけでなく、徴収面でのイスラーム法学の発展にも焦点を当てることにより、より説得的な議論ができたと考える。この成果は、京都大学イスラーム地域研究センター三班合同発表会で、「収入ザカート概念の発展:インドネシアとマレーシアの比較に向けた考察」として発表した。また2020年1月に3人のイスラーム経済研究者をインドネシアから招聘して行った「イスラームと新たな福祉パラダイムに関する国際ワークショップ」の発表に基づき、その論文集を『東南アジアにおける現代的ザカート実践の発展』というインドネシア語のブックレットという形で公開した。多言語で発表ができたことも、本年度の大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、世界的なCovid-19感染拡大のため、本研究課題遂行に重要なフィールドワークを実施することができなかった。一方で、フィールドワークができなかった分、文献研究やオンライン上でのデータ収集は推進できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、既に渉猟した文献の生理、論文執筆などに重点的に力を注ぐことにする。。フィールド調査にしても、インフォーマントにオンラインで聞き取りを行 うなどの対策を考えている。地域間比較を軸とした最終成果のまとめについても、令和3年度内までの成果公表をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、世界的なCovid-19感染拡大により、本研究の中核をなすフィールドワークができなかったことである。今後の使用計画については、渡航不可能な状況が続く限り、国内での文献収集のための旅費、文献購入のための物品費が主となる。また、フィールドサイトにいる研究協力者へのデータ収集依頼とその謝金という形での支出も考えている。
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