本研究は、近年注目される東南アジアにおけるイスラームの義務の喜捨(ザカートと呼ばれる)の合理化/制度化に関して、その制度化のアプローチが対照的なインドネシアとマレーシアを取り上げ、地域研究の視座から明らかにするものである。両者の比較を通じて、現代的要請に対応したザカート制度化の具体的実態とその特徴および、差異化した過程をめぐる。研究プロジェクト最終年度である今年度は、昨年度に引き続き産休育休のため、本研究課題遂行に重要なフィールドワークを実施することができなかったものの、以下の点について研究を推進した。 (1)研究成果発表および研究ネットワーク構築:研究成果の発表として、国際セミナー発表1回を行った。中東学会での発表及び、日本語での書籍の分担執筆でも、ザカートの制度化とオンライン化について執筆・公開できたのは大きな成果であった。フィールド調査はできなかったものの、現地の当事者たち(ザカート管理団体関係者や、イスラーム経済の学生)に向けて発表をしたことにより、様々なフィードバックを得ることができた。国際セミナーでは、第一線で活躍するイスラーム経済学者たちとのネットワーク構築もすることができたのは、大きな成果であった。 (2)ザカートに関するtwitterデータの入手:共同研究でtwitter分析のデータを手に入れることができた。これをもとに制度化について分析、検証中である。現在査読中のため、近いうちに、ワーキングペーパーとして成果発表の予定である。
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