当初は事例間比較を通じて、政治体制が体制変動をどのように規定するのか、その法則性を探ることを志向する本研究課題であったが、東南アジア地域の調査を踏まえて、最終的には、権威主義化の中でも最も理論化が遅れている個人化に絞り込んで研究を実施した。 東南アジアのフィリピンのみならず、先行研究の理論から逸脱するラテンアメリカのニカラグアに対象を広げた結果、個人化には政治文化という長期的要因(いわゆる経路依存性)が影響を与えていることが明らかとなった。この結果は、個人化の短期的要因に焦点を当てる先行研究の理論を発展させるものである。また、本研究では小国の体制変動には国際要因を分析する必要性を示唆した。
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