研究課題/領域番号 |
19K23182
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田部井 滉平 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助手 (00843947)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 反移民 / テロリズム / 排外主義 / メタ分析 |
研究実績の概要 |
本研究を完遂するにあたって、必要な手順は7つある。すなわち、1.適格性基準の設定、2.文献の検索、3.研究のスクリーニングと適格性基準の検討、4.情報のコーディング、5.研究の質の評価、6.メタ分析の実行、そして、7.結果の評価と解釈の7つの手順である。2020年度はそのうちの5つ目の手順までを遂行した。2019年度までには1から3までの手順を完了させ、手順の4に取り組んでいたが、適格性基準の見直しの必要性が生じた。そのため、2020年度は手順の1に立ち返り、メタ分析に含めるべき研究のP(対象集団)、I(介入)、C(対照群)、O(アウトカム)の見直しを図った。特にOについて、移民に対する感情、移民に対する偏見、それとも移民増加にかかわる政策態度といった似て非なる心理変数のどこまでを扱い、どこまでを扱わないのかという点を精査した。 その後、すでに抽出している文献群に2020年度に刊行された文献を加え、研究協力者1名とともにメタ分析に含めるべき研究のスクリーニングを行った(手順3)。スクリーニング後、選定された研究の情報をコーディング(手順4)し、研究協力者と独立して研究の質の評価を行った(手順5)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、研究協力者とともにメタ分析に含めるべき研究をスクリーニングし、情報の抽出と、研究の質の評価作業を早期に完了させる必要があった。しかし、新型コロナウィルス感染症の拡大により、研究協力者の募集・採用に難航した。また、採用後も、非対面でのコミュニケーション環境を整備するために時間を要し、協力者に作業内容を伝達するまでに時間がかかってしまった。そのため、研究のスクリーニングから研究の質の評価作業の完了が、年度末となってしまった。 また、2019年度に構築した適格性基準ではメタ分析に含めるか含めないか、境界事例となってしまう研究が存在したため、適格性基準の再検討を行う必要が生じた。 上記の理由により、当初の予定よりも進捗に遅れを生じてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、研究協力者と、それぞれ独立して行った研究の質の評価の結果を統合し、メタ分析の実行に向けての準備を進める。そして、メタ分析を実行し、得た結果を評価・解釈して本研究の完遂を図る。本研究のメタ分析が対象とする研究は、純粋なRCT(ランダム化比較実験)ではなく、自然実験や疑似実験による研究である。そのため、通常のメタ分析と異なり、自然実験や疑似実験のデザイン自体をコーディングし、分析に含める必要がある。Becker et al. (2017) 等を参考にし、自然実験や疑似実験を対象として扱うメタ分析の注意点に気を遣いながら、メタ分析の実行を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった国内学会・国際学会が新型コロナウィルス感染症拡大の影響によってオンライン開催となったために、参加にあたっての旅費を生じなくなった。この浮いた旅費については、メタ分析実行にあたって必要な統計ソフトウェアの購入費用や本研究に関連する調査の実施費用に充当する予定である。
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