本研究の学術的意義は、これまで散逸的であった個別の研究事例を統合し、テロ事件と反移民態度の関係について一般化された新たな知見を導出した点にある。メタ分析という手法を用いることで、個々の研究を俯瞰的に捉え直し、体系的な分析と統合を行うことができた。その結果、単に「テロ事件が反移民感情を高める」という単純な因果関係を越えて、その影響の大きさを規定する要因を明らかにすることができた。 一方、社会的な意義としては、本研究が移民問題に関する政策の在り方について、示唆を与えうる。仮にテロが発生した際に、国の移民受入体制や経済状況次第で、反移民感情を抑制できる可能性があることが分かった。
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