研究課題/領域番号 |
19K23185
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
粒良 麻知子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究員 (00789878)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | タンザニア / 社会主義 / 政治的安定 |
研究実績の概要 |
当該年度は、タンザニアのジュリウス・ニェレレ初代大統領が1960~70年代に提唱したウジャマー(ujamaa、家族的共同体)社会主義が、現在のタンザニア政治においてどのような意義を持っているかを探るため、先行研究の文献レビューを行い、現地調査で資料収集及び聞き取り調査を行った。具体的にはニェレレやウジャマー社会主義に関する書籍の文献レビューを行った。タンザニアでの調査では、現職のジョン・マグフリ大統領による政権運営と社会主義思想の関係について、現地の政治研究者に聞き取り調査を行った。また、学校教育でニェレレやウジャマー社会主義がどのように扱われているかを理解するため、現地で刊行された関連書籍やニェレレや社会主義が取り上げられている中高校の教科書・参考書を収集した他、ウジャマー社会主義に関する教育や知識、認識について、ダルエスサラーム大学の教員と大学生に聞き取り調査を行った。 今年度は、タンザニアにおけるニェレレやウジャマー社会主義の意義に関してこれまでに得た知見を基礎として、ムシュタク・カーンの「政治的安定」の枠組みを用いて主要政治勢力と生産部門の企業家の関係性の変遷を分析し、タンザニアにおいてどのように利益が分配され、「政治的安定」が維持されているかを探っていく。また、タンザニアでは2020年10月に大統領・議会選挙が予定されているため、特に選挙前後の政治情勢の変化に関する情報収集に注力する。その後、本研究の成果を論文にまとめ、国内外の学会等で報告してフィードバックを得た後、学術誌に論文を投稿する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度はタンザニアの政治や歴史に関する研究書を入手し、文献レビューを行った。また、他の調査予算で実施した現地調査の際に、本研究課題に関する資料収集及び聞き取り調査をあわせて行った。具体的には、現地で刊行されているウジャマー社会主義に関する書籍を入手した他、タンザニアの与党とウジャマー社会主義の関係について現地の政治研究者に聞き取り調査を行った。これらの研究活動により、本研究課題の進捗状況はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はタンザニアの政党政治とウジャマー社会主義の関係についての情報収集と分析を継続する。今年度は本科研予算で、2回の現地調査を行う予定である。その後、本研究の成果を論文にまとめ、国内外の学会等で報告してフィードバックを得た後、学術誌に論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は2年間で行う計画であり、2年目にあたる次年度の使用額が生じた。次年度はタンザニア及びアフリカ政治、政党政治、社会主義関連図書の購入、ノートパソコンの購入、タンザニアでの資料収集及び聞き取り調査、国内外の学会での研究成果発表、英文の論文の執筆に際しての校閲費としての使用を計画している。
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