研究実績の概要 |
当該年度は前年度に続き、タンザニアのジュリウス・ニェレレ初代大統領が1960~70年代に提唱したウジャマー(ujamaa、家族的連帯)社会主義が、現在のタンザニア政治においてどのような意義を持っているかを探るため、先行研究レビューを行った。当該年度は現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、現地調査を行うことはできなかった。 一方、本テーマに関連する研究として、当該年度、基盤研究(S)「『アフリカ潜在力』と現代世界の困難の克服:人類の未来を展望する総合的地域研究」の一環で、タンザニアの若者(具体的にはダルエスサラーム大学の学生)のウジャマー社会主義についての知識と認識について論文にまとめ、本の一章として発表した(Tsubura, M. (2021) 'Knowledge and Views of Tanzanian Youth Regarding Ujamaa: A Case Study of Students at the University of Dar es Salaam', in S. Yamada, A. Takada and S. Kessi (eds) Knowledge, Education and Social Structure in Africa, Bamenda: Langaa RPCID). 今後は、タンザニアにおけるニェレレやウジャマー社会主義の意義に関してこれまでに得た知見をもとに、ムシュタク・カーンの「政治的安定」の枠組みを用いて主要政治勢力と生産部門の企業家の関係性の変遷を分析する。その上で、タンザニア政治経済においてどのように利益が分配され、「政治的安定」が維持されてきたかを論じる。タンザニアでの現地調査が実施できるようになったら、現地に赴き、関連資料の収集と本研究テーマの専門家へのインタビューを行う。現地調査が実施できない場合、現地の調査補助員を雇用し、関連資料を収集してもらうとともに、現地の専門家へのオンライン・インタビューを実施する。その後、本研究の成果を論文にまとめ、国内外の学会等で報告してフィードバックを得た後、学術誌に論文を投稿する。
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